夏といえば着物、本格的な藍染の着物などに憧れますが、まずは小物から。
松江城のすぐそばには、そんな藍染の小物を買うだけでなく、自分で染色体験ができるお店があるんです。
今回は広瀬絣藍染工房の藍染体験を紹介します。
店内には広瀬絣の小物がずらり
広瀬絣藍染工房の店内では広瀬絣の小物を販売しています。大判のストールから5本指ソックス、バッグ、シャツまで幅広い品ぞろえ。
そもそも屋号になっている「広瀬絣」の広瀬とは、安来市郊外にある広瀬町という町の名前。
広瀬には月山富田城跡がありますが、江戸時代に松江城が築城される以前には、広瀬が城下町だったのです。
広瀬町は江戸時代に松江藩の分藩だったそうですが、江戸後期にお隣の鳥取県米子市~伯耆の国から染め織物の技術が持ち込まれ、広瀬絣として普及したそうです。
そのため、今でも広瀬絣は安来市の名産品の1つになっています。
併設の工房で藍染体験
藍染体験はショップの隣にある工房でできます(事前予約が必要です)。
まずは染めたいアイテム(ハンカチや手ぬぐいなど)を選びます。光沢のあるものだと染まった色が分かりやすいとのことで、光沢のあるハンカチ生地を選択。
次に見本を見せてもらいながらデザインを考えます。
布の一部分をゴムで縛り、染色液が入らないようにすれば、その部分は白く残って白抜きのデザインになるとのこと。
筆者は藍染らしい丸とハート型のデザインにチャレンジすることにしました!
ハートを作るにはまず布を半分に折り、ハートの半分をチャコペンで書きます。その線上にゴムを巻けば、ゴム部分は白く残り、ハートの線が残るとのこと。
染める際にゴムが外れないようにきつく止めます。
ハート2か所、丸を3か所作りましたが、かなり出たとこ勝負。全体のデザインはどうなっているのか謎です。
縛る作業を終えると、次はいよいよ染色作業。エプロンと手袋を貸していただき、染めの作業に入ります。
藍色の液体が入った釜はちょっと独特の香り。
まず布をしっかり窯に浸け、全体に色を染みわたらせます。ゴムを巻いた付け根部分などには液が入りにくくなるため、巻き部分をねじってしっかり液を入れていきます。
液体をしっかり染みこませたら布を取り出し、しっかり空気に触れさせます。
釜から布を出した段階では藍色というより緑に近い色ですが、空気に触れるとおなじみの藍色になっていくんです。
なぜ、こんなことが起きるのか。そもそも藍色の元になっているのは、植物のタデ。「タデ食う虫も好き好き」でおなじみですが、藍色というわけではありません。
まずタデを釜で発酵させ、還元することで染色液ができます。その還元液を布に付け、空気に触れさせて酸化させることで藍色になり定着。
こういった化学的な理屈で藍色の布ができるんです。
還元液はちょっと独特の香りがしますが、この発酵状態を維持していないと、藍染自体ができないんです。
また国産のタデも現在ではあまり数はないそうで、藍染というのはかなりいろいろな条件のもとで成り立っている技術だったんですね。
こういった技術を最初に見つけた人ってすごい!
藍色はきれいなだけでなく、防虫効果や紫外線防止効果もあると言われています。
これだけの手間をかけても古来より世界各地で使われるのは、そういった理由があるからですね。
藍色を濃くするためには、染める作業を4回ほど繰り返しますが、途中でゴムを外すことで、白抜き部分を「薄い色」に染めることもできます。
せっかくなので4回染めない場所を2か所作ってみました。
染めが終わると水洗い完成です!
意外にも?ハートがかなりかわいい出来に。適当に巻いた部分はやはり適当な仕上がり。所要時間は1時間ほどでした。
実はこれで終わりではなく、乾かしたあと家で熱湯につけて、灰汁を抜くと完成。2日ほど室内に干したあとに洗面器に熱湯を入れて2時間ほど置き、ぬるくなってから水洗い。
つけておくと、草のような薄緑の液が出てきましたが、それが灰汁のようです。
まだ少し藍色が抜けていき、ハートの内側が淡く・・代わりに薄く染めた部分も分かりやすくなりました。
使い込むうちに「染色技術」がはっきりしてきそうな予感(^-^;
実際にやってみると、模様の作り方や染め方などポイントが分かってきます。次はもう少し思ったような雰囲気ができる「はず」!
そんな感想を持つのが藍染。ぜひ一度体験してみてくださいね。
- 体験料:600円~
- 所要時間:約1時間
- 営業時間:10:00~17:00
- 定休日:年末年始、不定休
- アクセス:ぐるっと松江レイクラインバス「小泉八雲記念館前」から徒歩1分
- Web:http://www.mable.ne.jp/~izome/aizome.html