松江城の北東にある北堀町や石橋町は、江戸時代に武家屋敷があった場所。令和の今でも静かな家やお店が並んでいるエリアです。
そんな静かな街並みの高台に位置するのが高野山真言宗の千住院。今も昔も素敵な景色を見せてくれるお寺です。
今も昔も営まれる暮らし

松江城から千住院へは歩いて約10分ほど。このエリアはいわゆる観光地ではないため、マップをしっかり見ながらの移動がおすすめです。
時々そばの名店やおいしいパン屋さんなどもあり風情があります。

壁の赤い建物は明治初頭に創業したという昔ながらのお醤油屋さんである「カネモリ醤油」。
お花見の時期に訪れたため千手院への案内のように花が飾られています。こんなさりげない春の寿ぎ(ことほぎ)は、町の静かな雰囲気にぴったりです。

ちなみに、千手院下にある案内の碑によると江戸時代には勢溜(せいだまり/武家が控えていた広場やたまり場)といわれ、町家が並んでいたところなのだそう。
樹齢250年の枝垂れ桜(しだれ桜)

しばらく歩くと千手院の入り口に到着です。高い場所から桜がお出迎え。

千手院は「桜の名所」としてよく知られた場所。市民のみなさんが思い思いに坂を上って行かれます。

坂を上ると見えてくるのがお地蔵さん。そこからはちょっと急斜面&階段。

桜の季節は桜がトンネルのようになり、美しさもひときわ。

最後の階段を上ると、そこには大きな枝垂れ桜が!

この桜は、不昧公として知られる松平治郷の生誕150年を記念して植えられた木と同じく、松江市の天然記念物として指定されています。

樹齢250年を超えているだけあり幹回りもとても太い!

奥にはソメイヨシノが美しく咲き誇り、松江の町並みを高くから眺めることができます。

右手には松江城。松江城周辺には高い建物がないため、お城が実に美しく見えます。
千手院の境内を見てみよう

枝垂れ桜の裏には小さな池があり、その反対側に本堂があります。

千手院の来歴ははっきりしませんが、松江城築城の際には地鎮祭を行い鬼門封じの役割を担っていたようです。
江戸時代には城下七箇寺の一つとして知られたお寺で、何度か火事にも見舞われたようですが、桜もお寺も令和に至るまで愛され続けています。

赤い屋根の建物が不動寺で、中に不動明王さんがおられます。

そして1番奥にあるのが小倉寺(旧札所名)で、よそから移されたお寺のようですが、この中に出雲三十三観音霊場、第二十六番の十一面観音菩薩がおられます。

そしてこのお堂の横から階段を上ってお堂の裏手に行くと、竹林が広がっています。

千手院の裏手は新四国八十八か所と呼ばれ、ここを一巡して霊場回りができるというもの。

人がおらず道がやや分かりにくいので、無理に進まず道が確かなところだけ歩く方が安全です。

この道なりにはお墓のようなものから来待石で作られた仏像やお猿さんのようなものまで、いろいろな造形物があります。
町家の裏手とは思えないちょっと不思議な空間が広がっている千手院。
お花見や松江の景色はもちろん、境内や町並みをしっかり楽しむことで、松江の町がどんな時間を刻んできたのかを体感できます。ぜひ訪れてみてくださいね。
- アクセス:JR松江駅からぐるっと松江レイクラインバス「塩見縄手」下車、徒歩約10分
- Web:https://www.senjyuin.com/