松江市

【松江】明治から続く老舗の和菓子店「風月堂」

松江市といえば、お茶と和菓子の町。京都や金沢と並び「日本三大菓子処」に数えられ、多くの和菓子屋さんがあります。

なかでもあんこが好きならぜひ訪れてほしいのが…

堀川遊覧船乗り場の向かいにある「風月堂」です。

創業は明治19年(西暦1800年代)。150年近くも続いている老舗の和菓子店です。建物もとても風格ある造り。

昔ながらのショーケースには、名物「八雲小倉」をはじめとした風月堂の和菓子が並びます。

お店の中に入ると、絵画や書などがたくさん。

棟方志功や山陰が生んだ陶芸家河井寛次郎、地元著名人の漢東種一郎など、幅広い方の手による作品から、お店が長く愛されてきたのが分かります。

150年受け継がれる風月堂の和菓子

風月堂の和菓子は、八雲小倉・かすていら・萬寿・最中、季節限定の琥珀糖(夏期)・黒小倉(冬期)の6種類。

八雲小倉は風月堂を代表する和菓子。あんこをカステラ生地で挟んだもので、サイズ的に手みやげにすることが多く、予約の多い人気商品です。

冬季限定の黒小倉はカステラ部分がないもの。羊羹に似ていますが、粒あんが特徴です。

黒小倉が終わると、琥珀糖の販売、そのほか、ごくまれに「白小豆練り羊羹」という商品も登場するそうです。

白小豆は聞きなれませんが、文字通り真っ白い小豆。地元産小豆で原材料の数がなく、たまにしか作れないそう。価格も通常の羊羹より1竿1000円ほど高めです。

保存されていた小豆の現物を見せていただきましたが、乾燥しているとはいえやや小ぶり。あまり小豆には見えない豆です。

希少な豆で作られる羊羹、見てみたいものですね。

萬寿を素敵な空間でいただく

今回は1個から購入できる萬寿を購入。

真っ白でまん丸い萬寿と、上に卵黄を塗って焼いた黒い萬寿の2種類ありますが、今回は白い萬寿をチョイス。

店内にイスがありお店の方が番茶を出してくださいました。

ゆったり萬寿をいただいている短い間にも、どんどんとお客さんが来られます。四国や鳥取から八雲小倉を買いにくるお客さんの姿も。

風月堂の和菓子はネット販売はもちろん、ほかの店舗での販売もなく、商品は実店舗と電話でのお取り寄せのみの販売。予約の受け取りや電話、お客さんが絶えません。

その秘密は、しっかり甘いあんこ。ですが、くどさはなく、どこどこまでも食べ続けていられそうな甘さなのです。

自然の素材を使って丁寧に作られているだけと言ってしまえばそれまでですが、そういう和菓子はしっかり甘くおいしく、そして飽きも来ず、いつでも食べたいと思ってしまうものなんですね。

萬寿の見た目もそんな風月堂らしく、気をてらわず、どっしりとして和菓子らしい佇まい。

基本的に焼き菓子のみであるため、生菓子とは違い、5日程度は日持ちするのも嬉しいところ。

松江市といえば、上品なお茶請けの生菓子がイメージされがち。

しかし、ちょっと家に保管しておく、遠くの人への手土産にする、そんなときのお菓子もちゃんと上質なものが受け継がれているんです。

そんな味と空間を守る風月堂へぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。