松江市

【松江】築城前からお城を見守る「城山稲荷神社」でハッピー狐を見つけよう!

松江城がある城山(じょうざん)公園には、天守以外にもたくさんの見どころがあります。そのひとつが「城山稲荷神社」。

散歩道

場所は松江歴史館から正面の惣門(そうもん)橋を渡った静かな通り沿い。観光客もあまりいない、とても落ち着いた小径で、あの小泉八雲も散歩道として気に入っていた場所なんです。

松江藩を守る由緒ある神社

真っ赤な鳥居

城山稲荷神社は、真っ赤な鳥居が並び「お稲荷さん」といった雰囲気。入り口には大きな神社名を表示したのぼりがあり、中をくぐると赤い鳥居と狛犬があります。

狛犬

狛犬はとても古そう。

拝殿への階段

最後の鳥居をくぐると、拝殿へ続く長い階段があります。

葵の紋章

城山稲荷神社は松江城の守り神といってもいいところ。もちろん門には徳川家由来の葵の紋章。松江藩のお殿様は徳川家の親戚「松平家」なのです。

拝殿

門をくぐると正面には立派な拝殿が。ここにも葵のご紋章付き。

しかしお城に「お稲荷さん」というと妙な感じがしますね。稲荷神社というのは商売の神様。熊手などを売るイメージがあります。

ここ城山稲荷神社は元々「若宮八幡宮」。全国に多く存在する「八幡さん」の1つでした。しかも松江城築城以前から存在していたようなのです。

祭神名

1611年に完成した松江城、その築城の際に敷地にあった寺社はすべて立ち退きましたが、若宮八幡宮だけは「お城の守り神」として残されたのです。

その後、松江城3代目城主にして、松江松平家初代の松平直政公が「藩の繁栄祈願」の意味を込め稲荷神社を合祀。

「御城内稲荷八幡両社」として、松江藩を守る神社になったというわけです。

拝殿の額

ですから本当はお稲荷さんでもあり、八幡宮でもあるんです。よく見ると拝殿にはそのような額がかかげられています。ちなみに、八幡宮は武運の神として知られています。

争いの戦国時代から平和な江戸時代への移り変わりが見えるような神社なんです。

ご利益

そのためかご利益がたくさん。さらに現在の本殿は文化9年(1812年)の建造物ですが(門も同時期のもの)本来はもっと古いものだったよう。

意匠

現在でもよく見ると、門構えの随所に意匠が施されています。

本殿

本殿の造りもとても立派。松江城を守る城として別格の扱いを受けていたのですね。

おかま

当時の「おかま」も残っています。

金毘羅さんや熊野大社

境内には、金毘羅さんや熊野大社、大国主命まで、いろいろなお社も。左が金毘羅さん、右が熊野大社です。

大国主命

大国主命さまを祀った祠は一段高い場所にあります。

10年に1度の神事「ホーランエンヤ」も執り行う

ホーランエンヤ

日本3大船神事「ホーランエンヤ」をご存じでしょうか?

正式名称は「城山稲荷神社式年神幸祭」といい、10年に1度行われる神事で、前回2009年の観光客は30万人を超えました。その神事を執り行うのが城山稲荷神社なのです。

そもそもなぜお城の近くにある神社が船神事を行うのか?

稲荷神社を合祀した直政公の時代、松江藩は飢饉に襲われました。そのため、松江市郊外にある阿太加夜(あだかや)神社という所へ一週間程度ご神体を移し、五穀豊穣を祈願するようになりました。

江戸時代には阿太加夜神社の神主さんが、城山稲荷神社の神主さんを務めていたというのがその理由。

ホーランエンヤについて

この神主さんがかなり強力なご祈祷の力を持っており、松江城築城時にいくら積んでも崩れる石垣の「地鎮祭のご祈祷」を務めた方。そのお力を借りようということだったのでしょう。

阿太加夜は、JR松江駅から山陰本線で2駅ほど離れた場所、東出雲町出雲郷(あだかえ)にあります。

このルートは宍道湖と中海をつなぐ大橋川に沿っているため、ご神体の移動も船で行うことに。

ホーランエンヤの様子

それが現在では大掛かりなお祭りとなり、10年に1度の日本3大船神事「ホーランエンヤ」と呼ばれるお祭りになっているんです。

2019年はホーランエンヤ開催年。当然、2019年1月現在、城山稲荷神社は大忙し。平成最後(神事の際には新元号に)であっても、松江藩由来のおつとめが残っているというわけなんですね。

八雲も愛した狐さんたち、ハッピー狐を探してみよう

狐

城山稲荷神社は「たくさんのお狐さん」でも有名な神社。お稲荷さんなので当然狐が置かれているわけですが、その数が半端ではありません。

狐

実はこれでもかなり減ってしまったよう。元々は2,000~3,000体あったものが、現在では400に減少。

狐

石造りのため、どうしても風化してしまうんですね。

実はこの中には小泉八雲のお気に入りもいます。小泉八雲の住んでいた塩見縄手の小泉八雲旧居は比較的ご近所。

小泉八雲のお気に入りの狐

そのため八雲はこの神社にお散歩にくるのがお好きだったようで、特に気に入ったものが「復刻版」として今も飾られています。

狐

さてこのたくさんの狐さん、よく見ると「怖い系」「かわいい系」など、かなりキャラが多いことがわかりますね。

実はこのたくさんの狐さんの中に、見つけると幸福を呼ぶといわれる狐さんがいます。

玉を抱えた狐

「玉を抱えた狐」さんです。ヒントは「大きくはありません」。形がはっきりわかる狐が意外に少ないので、丁寧に見ると見つかりますよ。

ちなみに、「玉を抱えた狐」さんは2体あります。

玉を抱えた狐

もう1体はというと、何と本殿を囲む壁の中!外に置くとどうしても風化するため、ここにこっそり置いてあるとのこと。

この狐さんを見つけると、幸福が倍に!‥なるかどうかはわかりません(笑)

本殿

それよりも狐さんに気を取られて、立派な本殿を見逃さないようご注意を。

狐が見守る本殿は見応え充分な造り。戦国の世をくぐり、五穀豊穣を祈る江戸時代へ移っていった時の流れが見えるよう。

八雲もそういった静かな奥深い世界の空気が好きだったのかもしれません。

御朱印はマナーを守って頂こう

御朱印

城山稲荷神社では御朱印も頂けます。ただし、頂くときはマナーをしっかりと守りましょう。

というのも、神社の成り立ち上、城山稲荷神社には「氏子」がいないのです。しかし商売繁盛の神様を祀るお社ですから、現在でも地域のご祈祷を引き受けておられます。

さらにホーランエンヤなど、江戸由来の格式も維持されておられ、宮司さんのお仕事は大変なもの。

張り紙

ですので、御朱印を頂くときは張り紙に書かれている通り、マナーをしっかりと守ること。

社務所

基本的に社務所には職員がおられるようで、階段の下にある社務所に行けば御朱印を頂けます。宮司さんのお食事タイムの際は、近くでお食事をして待つとベストです。