松江市

【松江】山陰のあじさい寺「月照寺」で満開のあじさいと静かな時間の流れを味わう

山陰の小京都松江市は、江戸時代の名残を残した町。

特に国宝松江城周辺にはゆったりと散歩できるエリアがたくさんあり、松江城から少し離れた住宅地にも、江戸の香りを楽しめる場所があるんです。

それが「月照寺(げっしょうじ)」。松江藩を治めていた松平家の菩提寺で、歴代の大名のお墓が集まっているお寺です。

お墓が置かれている廟も見どころがたくさんですが、月照寺はあじさい寺としても有名、またスイレンを楽しむこともできるんです。

約3万本のあじさいが咲き誇る境内

月照寺の入り口

月照寺は、一畑電鉄「松江しんじ湖温泉駅」から徒歩約15分。

元々は禅寺であり名前も違っていた月照寺は、松江松平家初代直政公が生母月照院を安置するお寺にしたことで月照寺になり、その後松江松平家の菩提寺になっていったようです。

あじさい

拝観料を納め唐門をくぐると、色とりどりのあじさいがお出迎え。

あじさい

境内には約3万本のあじさいが咲き誇りますが、なかでも最大の見どころが廟の大きな直政公の廟付近。

直政公の廟付近のあじさい

ずらりと並ぶ石灯籠の周辺に、たくさんのあじさいが咲いています。

雨の日に訪れると、より素敵な空気が味わえそう。

スイレン

ちなみに月照寺はスイレンもたくさん見られる場所。スイレンは午後になると寝てしまうので、6月のお寺見物は午前中がおすすめです。

スイレンと紫陽花

小さな池とあじさい、そしてスイレン、気が滅入りがちな梅雨の気分も前向きに。

あじさい

廟の間にある敷石をじっくり見ながら、あじさいを眺めると、落ち着いた時間が流れていきます。

森を背後にしたあじさいもまた素敵。バタバタしない時間をじっくり味わえます。

あじさいやスイレンの開花状況は、お寺の公式サイトからチェックできます。

あじさい以外にも見どころいっぱいの境内

境内

月照寺は、あじさい以外にもたくさんの見どころがあります。

松江松平家10名の大名のうち9代の廟が安置され、欅づくりの廟門に意匠を凝らした木彫り細工や墓塔を楽しむことができるのです。

なかでも徳川家康の孫に当たる初代直政公と、お茶の大名として松江市民に親しまれている7代目不昧公(ふまいこう)の廟は圧巻の造り。

直政公の廟

直政公の廟は敷地も広く、廟門の大きさも大きく立派。そして廟門には寅がついていますが、ここにトリビアが。

表にいる寅

表にいる寅には牙があり、

裏にいる寅

裏(お墓側)の寅には牙がない!かなり注意しないと見落とすので、要チェックです。

不昧公の廟

茶筅供養塔の横を抜け7代目不昧公の廟。不昧とは茶事の号であり、本名は松平治郷。

廟門は小林如泥作で、入り口にあるブドウの彫り物がとても細かくて立派です。

ちなみにすべての廟が江戸時代の名工作と言われていますが、作者がはっきりしているのは不昧公のものだけ。

歴代大名の中でも、文化人として際立った人だったことがわかりますね。

不昧公の廟から見える松江城

そして不昧公の廟からは松江城を臨むことができるんです。写真の中央に松江城が写っているのがわかりますか?

廟

初代直政公と7代目不昧公の廟以外も、デザインがすべて違うのも見どころ。

仁王様

桐の紋章や仁王様も素敵です。

墓塔

墓塔も形が少しずつ違うので要チェック。

大きな亀

6代藩主・宗衍(むねのぶ)の廟のそばには大きな亀が!しかもなぜだか碑が乗っている…。

実はこの亀、月照寺を愛した明治の文豪小泉八雲の怪談に「市中を歩く亀」として登場する亀さん。

大きな亀

上に碑が乗っているのは、亀の散歩を止めるためと言われています。藩主を忍んで作られたはずの亀ですが、妖怪になってしまったようなのです。

ですが、現在は頭をなでると幸福が訪れると言われています。幸福の亀さんを、しっかり撫でてくださいね。

月照寺は石段が急で足場が悪く、ハチがたくさんいたり、大型のカエルが池に飛び込んだりと、自然も豊かなところ。

足元は歩きやすい靴で、虫よけ日焼け対策などはしっかりしておきましょう。

歴代大名のお宝が眠る宝物殿

宝物殿

境内を散策後はぜひ宝物殿の見学も。あいにく撮影は禁止ですが、この中には歴代大名の所蔵品がたっぷりと眠っています。

意外に他の場所ではお目にかかれない品々は、さすが大名の所有品。派手ではないけれど、上質なものばかり。しっかりと目にしてくださいね。

書院

また、今回は新型コロナウイルスの影響で入れなかった書院では、裏庭のスイレンを眺めたり、お抹茶を頂いたりできますよ。

御朱印

最後に入場時にお願いしていた御朱印を受け取ります。実は月照寺は出雲地方のお寺を巡る出雲國神仏霊場5番目のお寺でもあるんです。

お寺巡りをしている場合は、別の御朱印がいただけますよ。

あじさい

あじさいを観ながら江戸時代のお墓に順々に向き合っていると、今の時代に生きているありがたみを感じることができます。

自分とゆっくり対話をすることも、おひとり旅の醍醐味ですね。あじさいが咲き誇る梅雨の時期にぜひ訪れてみてください。