松江市

【松江】国宝の決め手になった「松江神社」はひっそりと佇む由緒ある神社

末裔神社

大手前から続く、松江城天守閣に登る階段。途中で一段落して、最後の階段を上ると本丸に到着しますが、その階段のはずれにひっそりと佇む神社があります。

国宝の決め手になった松江神社です。

徳川家康が祀られる由緒ある神社

松江神社

松江神社は、徳川家康をはじめ、歴代松江藩主が祀られている由緒ある神社。

しかし、いろいろな理由で忘れられがちの神社でもあったのです。

お城を横目に見る素晴らしい立地条件、江戸時代の人はさぞ大事にしただろう…というのは大間違い。誤解されがちなのは「天守閣にお殿様はいない」ということ。

本殿

平和な江戸時代、天守閣は飾りに近く、藩主(お殿様)は別の場所に住んでおり、現在、松江神社がある二の丸で「お役所仕事」が行われていました。

御書院跡

松江神社のある場所に「御書院跡」という碑がありますが、御書院とは役所の私的空間のこと。

つまり松江神社の下にある広場で政治が行われ、松江神社のある場所はロッカールーム的な存在だったんです。

その頃、松江城から5キロほど離れた、松江市の郊外に「東照宮」(家康公を祀る神社)が造られました。

鳥居と社殿

松江神社の社殿(本殿)と大鳥居、手水舎は、この東照宮にあったものをそのまま持ってきたものです。

拝殿と本殿

手前が拝殿、奥が本殿、建物自体はくっついています。拝殿は江戸時代に建築されたもので、創建したのは松江城3代目藩主「堀尾忠晴公」。

鳥居

よく見ると、鳥居には「東照宮」の文字が入っています。とても古いので崩れてこないのか、やや心配に…。

これで松江城も末永く…と思いきや、藩主堀尾家は3代でお家断絶。

拝殿アップ

続いてやってきた京極家も1代で断絶。満を持して(?)送り込まれたのが松平直政公。家康の長男の三男。つまり徳川家の中でもかなり「家康に近い人物」が松江藩主に。

この後、松江松平家は明治まで無事続きます。

楽山神社跡

明治10年、そんな直政公を祀る「楽山神社」が、松江城から離れた場所に創建。明治31年、この楽山神社を遷座して、東照宮を合祀したのが現在の「松江神社」。

本殿と明治期の移築物

そのため、明治期の移築物と思われるものから、遷座を記念して新しく造られたものまで、いろいろな建造物が松江神社には見られます。

祠

祠もありますが、いつのものなのかは不明。

城山稲荷神社からご遷座中

よく見ると「城山稲荷神社からご遷座中」の文字が。近所の神様が遊びに来られているのでしょうか。

手水舎

手水舎は江戸(寛永16年)に建築されたもの。手水舎の説明によると、とても稀な建造で貴重な建物とのこと。

手水舎

背後から見るとまた違った趣があります。

鳥居

鳥居も大きい方は江戸、松江城側にあるものは明治と、歴史の積み重ねを見ることができます(左/明治の新しいもの、右/東照宮のもの)。

松江城の国宝が決め手となった「祈祷札」が発見された場所

案内板

松江神社は、昭和6年に松平家7代藩主、松平治郷公(不昧公の愛称とお茶の殿様として松江市民にはおなじみ)、堀尾吉晴公(松江城初代藩主)を配祀、現在に至ります。

しかし、松江神社は氏子がいないのです。普通の神社は宮司がおり、それを支える地域の氏子がおり、祭りなどが行われ…というのが一般的ですが、宮司こそいるものの、それ以外がない。

境内

松江城へ行くルートからもややずれるという理由で、何となく「ただあるだけの存在」に。観光客も地元の人も特別視しない場所になっていました。

しかし、近年「ある理由」で一躍脚光を浴びました。松江城が国宝に指定されたのは平成27年。それまで国宝指定されなかった理由は「築城年が不確か」というもの。

祈祷札

その証拠となる「築城年」が書かれた祈祷札が、ここ松江神社の蔵から発見。やっと「国宝」になったというわけ(写真は松江城にある祈祷札のレプリカ)。

蔵

その蔵は神社のお隣にある洋館「興雲閣」との敷地の境目にありますが、意外に新しい感じ。

松江城改修時にここに札がしまわれ、そのまま「大事なモノ」とも思わず、放置されたようです。

静かな時が流れる松江神社

松江神社

「観光資源」という言葉が根付き始めた現在、やっとお城は国宝になり、松江神社の社務所も復活したよう。

社務所

神社を入って正面左手の社務所には地元の方がおられます。

御朱印

御朱印も社務所でもらえます。筆者は書いたものを頂きましたが、御朱印帳に書いてもらうことも可能です。

家康を筆頭に徳川直系親族が3名祀られているため、葵の紋章もありがたみを感じます。

静かな境内

松江神社は現在でも人が多い場所ではなく、待っても1人2人程度。ゆったりした時間が流れます。

松江城のはずれにあるため、団体観光客と遭遇した場合は、こちらに行っておくのも1つの手。

社務所の中

社務所に上がることも現在は可能。中にはお宝風のものがいろいろあるので、ぜひ見学してみてください。

絵馬

境内にはハート型のかわいい絵馬も。ハートの絵馬は隣にある興雲閣にあります(1つ610円)。

特に松江神社用というわけではないので、松江市内の神社巡りをする場合はまとめて買ってもいいかもしれませんね。

拝殿

松江城に関わった徳川家ゆかりのお殿様たちが祀られている松江神社。

松江城に行く前に、ぜひあいさつにお立ち寄りください。厄除けのほか、家業繁栄、交通安全のご神徳にも預かれますよ。